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 僕の腕の中で泣いている。

 意地っ張りで勝気なフリをしているのに、誰よりも内気で泣き虫な彼女が。

 

「なぁ、なんでそんなに強がるんだよ」

「………」

 

 彼女は答えない。

 より強く顔を押し付けてくる。

 

「素直になれない女はツライねぇ」

「……うっさい」

 

 一声だけをかけてきた。

 少しだけ機嫌が直る。

 

「……ねぇ、馬鹿」

「俺は、そんな名付け親が見たい名前の人じゃないけど」

 

 彼女が鼻をすする。

 

「なんであたしはこーゆーのばっかなのよ」

「まぁ、そんなお前を好きになる奴もいるだろうさ」

 

 本当はそこで「俺みたいな馬鹿が」と言いたいけれど。

 彼女と同じで、俺も素直になれない。

 

「……そんな馬鹿はいない」

 

 吐き捨てた言葉と共に、彼女は俺のシャツを握り締める。

 

「そうかなぁ」

 

 わざと曖昧に、俺はそう言った。

 

 


ベタなお話パート2。
 
素直になれない関係が好きです。
でもすれ違い続けるのは悲しいと思います。






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