「よ、おはよう」
席についた俺に彼女が声をかけてきた。適当に挨拶を返す。
まともに授業を受ける気が無い俺は、せめてもの体裁の為に、と机の中から筆記用具と教科書を取り出した。
その最中に、まだ彼女が俺の横に立っていたに気づいた。
「…なんだ」
俺が疑問を投げかけると、彼女はにこにこと笑って
「ねー、気づかない?」
と質問を質問で返す。
笑顔のまま俺を見ている彼女。なんだか無言の圧力を感じたので、俺は彼女をじっと観察する。
「………」
「………」
10秒ほど経過した後、俺は言った。
「ああ、500グラム痩せた?」
「違う」
「ああ、500ミリ伸びた?」
「違う」
「ああ、500カロリー消費した?」
「違うッ! なんで500にこだわるのよ」
怒声と共に彼女の拳が飛んできた。俺はそれを受け止めつつ
「冗談だよ。髪、切ったんだろ。いいじゃん」
真実を告げると、彼女の顔に微笑みが戻る。
「やっぱり気づいてたんじゃない。結構そういうところ鋭いよね」
綺麗にカットされた髪をそっとかきあげる彼女。
「そりゃー、気づくさ。お前の太めの首が見えやすいもん」
単なるジョークだったのだが、彼女の拳は拘束で俺の鳩尾に食い込んだ。
リハビリテーション2。
のはずなんですが、何故か怪しいです。
おかしいなぁ。学園ラブコメの話を書いていたのに。