D-RPG 第一話「出発」



 指先が弾倉に銃弾を送り込んでいく。

 何度となく繰り返した行為。

 けれど、いつもと違う、見えない何かが僕に覆い被さっているのを感じていた。

 

 それはきっと、思い出だ。

 

「ノビタ、準備できたのかい?」

 少し甲高い声が僕を呼ぶ。

「今行くよ」

 中折れの銃身を戻し、ホルスターに拳銃を仕舞いこむ。

 部屋の扉を開け、一度だけ僕は振り返る。

 空っぽの押入れに。

「………」

 僕は階段を下りて玄関に向かった。

 

 

 外には、もうみんなが待っていた。

 白いローブを着た「ヒーラー」の少女   シズカ・源

 鋼の肉体を持つ「ファイター」の少年   タケシ・剛田

 マントを羽織った「シーフ」の少年     スネオ・骨川

 

   そして、この僕。

 眼鏡をかけた黒いコートの「ガンナー」  ノビタ・野比

 

「ノビタさん、大丈夫?」 

 心配そうに僕を見るシズカ。僕は微笑を返す。

「今まで僕は、ずっと助けてもらったんだ。だから、今度は僕が助けなきゃいけないんだ」

 決意を胸に僕はそう言う。

 ヒュウ、と口笛。

「ノビタが珍しくかっこいいこと言うね」

 スネオがはやし立てる。けど、それは決して馬鹿にした言い方では無かった。

 それまで黙っていたタケシが、太い腕を僕の肩にぐいっと回してくる。

「お前がその気なら、俺はとことん付き合うぜ。心の友よ」

 その言葉が口火になった。

 

「私も、ノビタさんに力を貸すわ」

「友達のピンチは、見過ごせないよね」

「皆で力を合わせりゃ、なんでもできるだろ」

 

「………ありがとう、みんな」

 僕の仲間たち。

 最高の仲間たち。

 

「…行こう」

 僕らは出発する。

 失ったものを取り戻す為に。

 最後の仲間を助ける為に。

 

 暴走した「DORA」を止める為に……。

 

 


アナザードラえもん物語 RPGシナリオ編
 
ええと、ネタですので。
なんかすごく話を作りやすいんですけど。
ニヤニヤしながら書いてます。「心の友よ」の台詞とか。
 
ということでD-RPG一話。
完全に僕が楽しんで書いてます。
 
やっぱり、キャラクターが立っていると話は簡単に書けるものなんだなぁ、と痛感。







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